top of page

移住先での適正給与を算出するには

更新日:2022年12月12日

前回(リモートワークシリーズ第1弾)のリモートワークに関する考察に続き、ここでは欧州のリモートワーカーたちに人気な都市で働くことの背後にある数字について考察していきます。


生活費の高い大都市圏ロンドンで5万GBPを稼ぐ人が、リモートワークの普及を機に、生活費の安い近隣国に移住するとしましょう。その時、この従業員には変わらず5万GBPを支払うべきなのでしょうか。実際の数値を使って計算してみましょう。


リモートワークを活かした移住がブームに

リモートワークの普及で、勤務先に出勤せずに自宅にいながら勤務ができるようになりました。つまり世界のどこにいても仕事をすることができる環境のため、今の居住地から引越しを考える方も多いです。今までは通勤時間や通勤アクセスなどの利便性を重視していたかもしれませんが、よりよい住環境を求めて移住する選択肢も与えられました。アメリカでは、大都市圏に住む人たちがこぞって郊外に転居をしたために大都市圏に空き物件が急速に増え、賃料相場が一時的とはいえ、急激に下落しました。


ヨーロッパでは下記都市がリモートワーカーたちに人気な都市のようです。食文化をはじめとした文化面、自然の豊かさや街並みの美しさなど、「一度は住んでみたい街」としても人気が高い所です。

  • マドリッド

  • リスボン

  • イスタンブール


移住先との物価差は考慮すべきか?

会社の方針により、主たる勤務地(雇用主の所在する都市)とは異なる第三国で働くことを許可された場合、その第三国の給与体系に合わせることがよろしいです。物価の高い大都市圏を想定した給与形態のまま、生活費が安い別の国に住むことで、手取り給与の価値が高まってしまうことを防ぐことができるためです。従業員は、組織に対する自分の価値に基づいて、これを交渉することができるかもしれません。しかし、給与の金額だけでなく、提示された給与の購買力についても考慮することが重要です。


勤務先と居住地の国が違う場合の計算方法は?

イスタンブールは、アジアとヨーロッパの2つの大陸にまたがる世界で唯一の都市です。この都市は多文化で、活気に満ちた雰囲気に満ちています。気候は地中海性気候で、犯罪は少なく、教育や仕事の機会も豊富です。


  • Case1:ロンドンからイスタンブールへ

ロンドンで【50,000GBP】を稼いでいる人が、イスタンブールからリモートワークする場合、通貨換算で【1,000,000TRY】必要だと考えるかもしれません。しかし、為替レートは常に変動しているため、給与を比較する際に為替レートに注目するのは危険です。

(画像 AIRSHAREより引用)


イスタンブールの税金はイギリスより安く、生計費指数は約55%、住宅は31%安いことがわかります。つまり、同等の購買力を得るためには、総給与として【600,000TRY】で足りる計算となります。購買力が変わらないのであれば、総支給額を減らしてでもイスタンブールからリモートで仕事をしたいと思うかどうかは、のんびりしたライフスタイルとオスマントルコの名所に魅力を感じるか次第でしょうか。


  • Case2:ポーランドからイスタンブールへ

今度は、ロンドンではなく、ポーランドのワルシャワに住んでいる場合で見てみましょう。もし、その人の給料が【280,000PLN】程度だとすると、為替換算で【1,000,000TRY】程度になるわけですが、先ほども言ったように、為替換算に頼ってはいけません。

(画像 AIRSHAREより引用)


イスタンブールの方が税金は若干安く、生計費指数は30%程度安いのですが、住居はワルシャワと比べて25%程度高いことがわかります。よって、購買力平価を達成するためには、【850,000TRY】が必要ということになります。


他の社員と「公平性」を保つために

上記の例のように、移住先の国の為替・税金・生計費指数・住宅相場など考慮したうえで、リモートワーカーの給与を算出することが、ほかの従業員との公平性を保つために必要なこととなります。これは海外駐在員の処遇を算出する「No Loss, No Gain(損も得もない)」の考え方にも通じ、現地の給与相場やら移住先国の従業員との公平性に対する会社の立場が焦点となります。


当記事へのご質問はこちらからお問合せください

 

元記事(AIRINC社の情報サイト AIRSHARE)※英語表記


閲覧数:28回

最新記事

すべて表示

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page