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サーベイレポート 定額減税の各社対応

更新日:2024年6月13日


「令和6年度税制改正の大綱」に沿った国税の改正法案により、令和6年分の所得税および住民税について定額減税が実施されることとなりました。


この定額減税は、個人の税負担を一律に軽減する政策です。日本国内の居住者が対象となり、その目的は消費の促進や経済活動の活性化を図ることにあります。一方、定額減税は国内居住者のみを対象とするため、海外で勤務している日本人は原則として対象外になります。


弊社では、対象外となる海外駐在員に対して、各社がどのような対応をするかについて調査しました。

実施概要は こちら をご覧ください。



 

設問1| 2024年5月までに赴任をし、日本国内で定額減税を受けずに赴任する駐在員への対応


有効回答数 210社

定額減税 各社対応

海外駐在員に対する定額減税相当の対応については、約5割の企業が何らかの方法で「対応する」としている一方で、2割の企業が「対応しない」と答えた。2024年5月時点では3割以上の企業がまだ対応を決定しておらず、今後の判断が注目される。









対応する場合の、対応方法

定額減税 各社対応

「その他」の方法

  • 定額減税額を支給する(複数社回答)

定額減税 各社対応

















設問2|

出向受入をしている外国籍社員への対応

有効回答数 91社


定額減税の対象となる出向受入中の外国籍社員がいる企業のうち、約4割が定額減税をそのまま適用すると回答。定額減税分を出向元に返金するなどの「タックス・イコライゼーション」の実施を検討中と思われる企業は、本サーベイでは1割以下の少数派となった。





定額減税 各社対応








「その他」の方法

  • 定額減税分を日本本社に給与で調整する

  • 定額減税分は確定申告にて納税する際に調整のうえ申告(複数社回答)



 



2024年6月より日本国内で実施される「定額減税」は、所得税・住民税ともに国内居住者が対象のため、基準日前(所得税は2024年5月31日以前、住民税は2023年12月31日以前)に海外赴任した駐在員とその家族については、対象外となります。


一方、これらの海外駐在員に対し、多くの企業では本国勤務時に発生する所得税や住民税と同等の「みなし税」を給与から控除しているため、「定額減税」に相当する対応を既存の海外駐在員に対しても実施するべきかどうか、悩ましいところです。


本サーベイの結果で、海外駐在員に対しても「定額減税」と同等の対応を行う企業が多いことが判明しました。しかし、同等数の企業が対応を決めかねている実態が明らかになりました。


海外駐在員と国内勤務者の「公平性」を維持することは、企業の海外人事部門にとって大変重要な課題ですが、「公平性」をどこで線引きするべきかについては、企業によって大きく異なります。


海外駐在員に対する定額減税相当の対応については、下記図のような区分や自社の対応事例などを参考に各企業において決定されることが一般的です。

海外駐在員 対応区分


対応時の方法や留意点

海外駐在員に対し定額減税相当の支援策を実施する場合の対応方法や留意点を整理すると、

以下のようなポイントが挙げられます。



​対応する場合の方法

  • 国内給与にて「調整手当」を支給 海外駐在員に対して定額減税相当の額を給与として追加支給する

  • みなし税額を調整 海外駐在員の税額を調整し、国内勤務者と同等の税負担になるようにする


​対応する場合の留意点​

  • 2024年6月以降に赴任する海外駐在員への対応 新たに赴任する者に対して、どのように政策を適用し、管理していくか明確にする必要がある

  • 2024年6月以降に帰任する海外駐在員への対応 帰任者が海外勤務中に定額減税相当の支援を受けている場合、帰任後の年調減税との兼ね合いを考慮する必要がある


  • 海外駐在員に対し「年末調整」を行っている場合の対応 年末調整における定額減税額の控除は、住宅借入金等特別控除等の税額控除適用後の所得税額(年調所得税額)に対して行われることを考慮する必要がある


本年中の異動者の「所得税」「住民税」の取り扱い

定額減税の所得税については、2024年6月時点の状況に基づいていったん減税額を定め、

所得税の減税を行う「月次減税」と年末調整時点の定額減税額に基づき精算を行う「年調減税」に分かれます。

※下記は、定額減税を受ける要件(年収等)を満たすことを前提としています。


Case1 2024年1月1日~2024年5月31日に、海外赴任をする者

●所得税 ※下記補足参照のこと

 月次減税 2024年6月1日時点で国内居住者でないため対象外

 年調減税 2024年の年末調整時点で国内居住者でないため対象外

●住民税

 2024年1月1日時点で国内居住者のため対象



Case2 2024年1月1日~2024年5月31日に、海外から帰任する者

●所得税

 月次減税 2024年6月1日時点で国内居住者のため対象

 年調減税 2024年の年末調整時点で国内居住者のため対象

●住民税

 2024年1月1日時点で国内居住者ではないため対象外



Case3 2024年6月1日~2024年12月31日に、海外赴任をする者

●所得税

 月次減税 2024年6月1日時点で国内居住者のため対象

 年調減税 2024年の年末調整時点で国内居住者であれば対象

      年末調整前に赴任をしている場合は対象外

●住民税

 2024年1月1日時点で国内居住者のため対象



Case4 2024年6月1日~2024年12月31日に、海外から帰任する者

●所得税

 月次減税 2024年6月1日時点で国内居住者でないため対象外

 年調減税 2024年の年末調整時点で国内居住者であれば対象

      年末調整後に帰任をしている場合は対象外

●住民税

 2024年1月1日時点で国内居住者ではないため対象外






補足:2024年5月31日以前に海外赴任をする者

2024年分の所得税の納税者については、2024年6月1日時点で国内居住者でなくても、​​​​​海外駐在員本人が確定申告にて「定額減税の申告(更正の請求)」をすることにより、定額減税の適用を受けることが可能です。(2024/6/3追記しました)






​​​​​海外駐在員に対する定額減税相当の対応については上記内容を踏まえ、総合的にご検討ください。

なお、定額減税に関する情報は随時更新されていますので、詳しくは 国税庁 特設サイト をご確認ください。


また、定額減税のみに関することではありませんが、このような政策において「対応する・対応しない」の利点と欠点を別ページにてまとめています。対応方法を検討されている場合は、要点整理として参考にしてください。






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