これまでの海外人事部門では、規程に則って事務作業のように「人材を異動させる」ことに注力し、個々人の希望を叶える動きはあまり認めない方針でした。しかしこの数年間で、欧米ではこの認識が急速に変化をしています。より戦略的・効果的に人材を活用することに注力する方向にシフトをし、個々の例外対応が認められるようになりつつあるようです。そのためには人事部門は会社側に、刻々と変化する海外情勢や駐在員ニーズに対して解決策を提供し、会社経営のアドバイザーとしての新しい役割を担うようになる必要があります。これからの人事部門は、人員を補充するために人材を送り込む「事務作業の処理」から、会社経営にとって適した人員を適したポジションに配置するための「アドバイザー」としての地位を築いていくのです。組織内のニーズを把握・対応するためにどのような政策が必要かを整理し、適切な解決策を会社が選択できるためのサポートをする。そして、その選択した解決策がうまく稼働するようにアドバイスをするという、新しい人事部門の在り方が求められています。
個々人の例外対応を認めるための適切な解決策としての1つに、「One-Way Transfers(期限を定めない赴任)」があります。従来は転籍のために使われてきたこの赴任形態が、ますます重要な役割を果たすようになっています。近年では、リモートワークの活用や駐在員本人の希望で、しばらく帰国をしないことを望むケースが増えてきました。その場合、One-Way Transfersという赴任の仕方が適切な政策ともいえるでしょう。このような駐在員のキャリアビジョン等を考慮し、適切なタイプの駐在員規程を戦略的に設計し、どの駐在員にどの規程を当てはめるかをアドバイスすることが、これまで以上に重要になってきています。
現時点での日本企業においては、片道切符とも呼ばれるこの期限を定めない赴任のケースがはあまり多くはないですが、欧米では一般的に使われるようになっています。今回を第一弾とし、One-Way Transfersについてより深く掘り下げていきます。
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元記事(AIRINC社の情報サイト AIRSHARE)※英語表記
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